発言者への追及を徹底的に遮るフリーネット(過去記事)の加速を速めているのは,言論を弾圧しようとしている人たちだ。
米国市民的自由連盟などの人権擁護団体が,インターネット上の匿名発言者を保護するよう,プロバイダーなどに要望した。これは企業を批判したユーザーを相手取った訴訟が相次いでいることを受けたもの。現行法ではユーザー本人への通知なしに,プロバイダーは裁判所にユーザーの身元を明らかにできる。
日本人は匿名批評に対する抵抗意識が強い。自分を明かさずに批判するのは卑怯だ,という意識がある。いろんな意味で論調激しい産経新聞で,人気のあった匿名コラムだった「斜断機」も今年春に終了してしまった。まぁ後半は匿名ではなく署名入りになって,内容的にもつつましいものになっていたが。
呉智英,日垣隆,大月隆寛など,明らかに執筆者の顔が割れる回も多かったが,私的には誰が書いたかなどは大して意味がなかった。匿名であることで必要となるテキストの芸のなかに,しっかりと問題を提起する論点は尊ぶものだった。匿名は卑怯だという考えを100%否定するつもりはないが,そう考える人間はたとえ本名であっても,提起された論に考えを及ばすことがない。2ちゃんねるも潰されようとしている今(過去記事),日本においても,個人への閉鎖と抹殺は,今後加速していく。
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